2010年8月20日金曜日

他民族国家





 たまに、イスラエル人に『ユダヤ人って一体誰の事を言うんだい?』何てことを聞いてみると、だいたいは『ユダヤ教徒を信じていて、この土地に起源を持つ民族かな。』と答える。

だけど、僕は意地悪なので『じゃあDNA的なつながりはあると思う?』なんて事を聞く。そう言うとその人の思想によって答えは別れて来る。

シオニストや宗教色の強い人は『ある』と言う。中には『あるけど、エチオピア系はユダヤ人とは言えないね』何て事を言う人もいる。

と言うのも、白人系ユダヤ人以外は人口確保の為と信じている人が、この国には多くいるんです。

イスラエルはそもそもヨーロッパで生まれたシオニズム運動から生まれた国で(このシオニズムを称える人間をシオニストと言う)、始めは白人系ユダヤ人だけの国家を築こうとしたんだけど、ホロコーストで多くのユダヤ人が犠牲になり白人ユダヤ国家の夢は現実的に厳しくなってしまった。

1948年イスラエル国として独立宣言するも、人口問題は深刻だった。建国前後に多くの中東系ユダヤ人が国境を越えイスラエルにやって来たが、ここでは人口問題以外の問題を生む結果になった。それは白人文化圏出身の人間と、中東文化圏出身の人間との間の文化の違いだ。今では大分中和しているが、政府の高官の多く白人系が占めているし歴代首相は白人系のみである所をみると少なからず摩擦はある。

そして、イスラエルとって又新たな人口問題が現れた。それはパレスチナでの出生率がイスラエルの出生率より遥かに多く、このままではパレスチナの人口がイスラエルの人口を超えてしまうと言う問題だった。国際社会に向けイスラエルの生存権を主張する為には、ユダヤ人人口が、パレスチナ人人口よりも多くなくてはならない。

そこで、政府はロシアやエチオピアから多くのユダヤ人を誘い移住させ、パレスチナ人との人口比率の過半数以上を占める事だけに集中した。
人口増加計画は成功したが、この計画は人口増加のみが重要で、政府にとって移住後の事は結果的に当人任せになり、それは格差を生み、差別を生んだ。

白人系ユダヤ人がトップでエチオピア人が一番下の強固なピラミッドが、この国にはある。

そんなピラミッドが、『エチオピア系は人口確保の為にいる。』なんて事を普通に言ってしまう要因になっている。

また、ソ連崩壊後のロシアや旧ソ連の国からの移民の中にはユダヤ人でない者がユダヤ人として移住して来ている者がいると聞く。

僕には、これほどユダヤ!ユダヤ!と言っているイスラエル政府の本音は白人系ユダヤ人の為にイスラエルと言う国が守られれば、それでいいと言うように見えてしまう。

最後に、リベラルな考えを持つイスラエル人の中には『ユダヤ人にDNAの繋がりなんてないよ、文化的な繋がりだって微妙だよ。』と言う人もいます。

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