2012年7月6日金曜日

もう入植地 完結編にしたい!!


ついに、完結編です☆

何の事やとお思いの方はパート1と パート2 をご参照くださいまっせーーーーー。





成人男性皆がマシンガンを背負っている異常な光景が広がる入植地へやって来た僕とドキュメンタリー映画を撮っている友人のヤン、小さい谷を挟んだ反対側の村ではパレスチナ人とイスラエル人・外国人活動家による入植地に対する反対デモのデモ隊がイスラエル軍と対峙している.............






では、入植者へのインタビューです。

今回の目的は10代の入植者の子供達へのインタビューがメインなので、まずはその母親へ友人のディレクターが説明を兼ねたオフレコのインタビューから始まりました。


彼女はもともと入植者ではなく、カナダ生まれの宗教的な*ユダヤ人 で10代の頃にイスラエルへ移り住み結婚を期にこの入植地へやって来た入植者で彼女の夫はこの入植地で生まれ育ったと言う事でした。





*ユダヤ人
イスラエルのすべての国民が宗教的なユダヤ人と言う訳ではありません。
宗教に対する感覚は日本人が持つ宗教観に似ている、もしくはそれ以下の宗教観しかない人は大変沢山います。
現代イスラエルを構成している国民の宗教観は、全体的には高いとは言えないと思います。
しかし、オーソドックス・ジューイッシュと呼ばれる宗教色の強いユダヤ教徒が見た目的にも目立つ為に、イスラエル=宗教国と言う様なイメージですが。
実際、エルサレム以外の都市の殆どではそんな事ないです。

ちなみに、オーソドックスのユダヤ教徒はイスラエル政府の存在を宗教的な理由から認めておらず、全てのイスラエル人に科せられる兵役を拒否しています。しかし経済的余裕のないオーソドックスの中には政府から金銭的援助を受けていると言う矛盾があり、この問題も以前からイスラエルでは事あるごとに問題に上がっています。

そして、今回の入植地に住む多くの人はオーソドックス・ジューイッシュとは違い一般のイスラエル人と殆ど見た目的な変わりもなく兵役にも積極的に参加する敬虔なユダヤ教徒である宗教者の住む入植地で、多くの入植地がこの様なグループのユダヤ教徒が住む入植地である。






僕たちはまず、自己紹介と世間話をしゆっくりと入植地問題やパレスチナ人に対する感情についての話を進めて行きました。

その中で僕が一番印象に残っているのは、『なぜ、国連が定めたグリーンラインからパレスチナに食い込んだ、この場所ではなくてはならないのか?またなぜ入植地が和平交渉の弊害になっているのに移住が出来ないのか?』と言う彼女へ質問に対して答えた時でした。

『まず、この土地はイスラエル政府によって許可を得て長い年月を懸けて作り上げた場所であり何ら違法性のない入植地であること。そして、この長い年月と命を懸けて作り上げたこの入植地の住民の仲は、単なるお隣さんではなく大きな家族の一部と言う感覚が私達にはあるんです。なので、誰かが結婚すれば入植地全体でお祝いします。入植地の誰かが助けを必要としている時には全員が助けを差し伸べます。そして、この土地に対しても同様に強い絆を感じています。だから、私達はこの土地から離れる事はありません。』

とても穏やかな口調で彼女はそう答えた。

そして、彼女は僕らにこう質問して来た。
『あなた達は自分の故郷から簡単に去る事ができますか?』


僕はこの質問を受けて、瞬間的に色々考えた。

『思い出の詰まった土地をそう簡単に捨てる事は出来ないかも知れない.........嫌、きっとできない。』
『でも、もし僕の故郷がもともとは誰かの土地でそれが元で大きな問題が生まれ解決の道が見えないのなら、思い出の詰まった土地ですら捨てなければならないのかもしれない......にしても苦しい決断になるやろうな........』
『即答できる問題ではないな...』



ヤンも少しだまり込み、その後『自分が住み続ける事で苦しむ人がいるならきっと僕は移住します。去る時の心は穏やかではないかもしれませんが。。。。。』



人が住み慣れた土地を離れるのは宗教的・政治的な問題云々よりも感情的な問題が一番なんだとその時に僕は再確認したのと同時に、ある種当事者ではない外国人活動家が決めつけ的に反入植地の立場を取り罵倒する状況にも少し違和感を感じた。




そして、その後も彼女と彼女の娘とその友達達が集まるまでの間話を続け、娘の友達が集まってからは場所を近くの泉に移してインタビューを始めた。







入植地生まれの高校生達。





彼らの入植地に対する愛はすごく強く、全員が『結婚したらこの場所に家を建て子供を作り育てるのが夢なんです』と僕たちに語って来る程だった。


『誰もが自分の生まれた土地に対して愛着と尊敬を持つ様に、僕たちもこの土地に愛着と尊敬を持っています。たとえその土地が国際法違反の入植地だ!!何て左翼の人間や外国人やパレスチナ人に言われても、イスラエルの法律ではこの村は合法な村なんです。だから、僕らはこの土地から去る必要は全くないんです。デモが始まる前は村の人間とパレスチナ人との友好な交流だってあったんです。それがイスラエル人の左翼や外国人活動家がパレスチナ人をけしかけてデモを初めてから村の周りのパレスチナ人は僕らに対立し始め、石を投げ始め、この僕らのモノに火をつけたりし始めたんだ。』興奮気味に少年の一人がそう語った。


『僕らはパレスチナ人と共存できると思っています。もし、彼らが石を投げるのを止め、火をつけるなどの暴力行為を止める事ができるのなら。それに、入植地に対して抗議したいのなら裁判所を通すなり非暴力の抗議方法があるはずです......。暴力的な抗議をしていてはいつまでも分かり合える事はありません.....。』冷静に違う少年がそう語る。


ヤンは『パレスチナ人デモ隊に対してのイスラエル軍の対応はどう思うかな?催涙ガスやサウンドボム(大音量の音出すだけの小型爆弾)などでの対応のこと何だけど、そして去年それで死者が出ているんだけど......。』


少年『その事は知っています。悲しい事件だけど、イスラエル軍の対応は間違っていないと思います。デモ隊に対して然るべき対応をしているだけだと思います.........。』





少年達は『パレスチナ人と共存する事は可能だ』と言う。


それが出来れば何て素晴らしい事だと思うし、実際にイスラエル国内のパレスチナ人村では対話と交流によってイスラエルと共存出来ている村もある。

しかし、自由と権利を持つイスラエル側に住むパレスチナ人とは違い自由度の少ないパレスチナのパレスチナ人にとっては、イスラエル人はいつまで俺たちを苦しめるのか?なぜ自分達の土地を奪い続けるのか?と言う疑問と憎しみを生む対象でしかないのかもしれない。

すくなくとも、そう思ってしまう環境がイスラエル政府によって、彼らパレスチナ人の毎日を取り巻いている事実がある。

アイデンティティを奪い、入植地を建設し土地を奪い、検問所を各地に作りパレスチナ人のパレスチナ内での移動を制限する環境を作りパレスチナ人の身と心を傷付けている。



入植地の少年達が言う、話し合えればきっと解決すると言う主張はアイデンティティも、土地も、パレスチナ人同士の交流も奪われたパレスチナ人にとっては夢もの語りなのかもしれない。


人が対話できる時は、双方が同じ環境条件化にいる時だけだろう。


話し合いを持つ時、双方が同じ環境条件にいなくては到底平等な打開策など生まれない。


そして、今パレスチナに住むパレスチナ人とイスラエル人との間の環境条件の格差はひどく、対話ができる状態ではない。


パレスチナ人も石を投げるのを止めるべきだろう、外国人活動家もイスラエル軍を挑発する行為を止めるべきだろう、そしてまず、イスラエル軍は過剰暴力的な防衛を即座に止めるべきだろう。


全員が変わらなければ、話し合いの必要条件である双方の環境条件の均等は作り上げれない。


簡単に変われる様な問題ではない、時間が経ち複雑になり過ぎたのかも知れない。

だけど、変わらなければならない問題だ。

そして、いくら時間がかかっても変えなくてはならない問題だ。







『地球の友達は一体いつになったら一緒に暮らす事ができるのだろう?』


ありがとう。

So












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